概要
生物には心理現象として視覚情報から本来その場所に存在しないものやパターンを思い浮かべてしまうパレイドリア現象というものが存在し、現在までに様々な分野で応用されています。本研究ではAIに画像を一定数学習させてパレイドリア現象と同様の誤認識が起こるのかを検証しました。
研究背景
近年、パレイドリア現象を利用した人間に意味や概念を理解させる記号やデザインが増加しています。例として2021年に開催された東京オリンピックにて使用された各競技のピクトグラムがあります。これらは競技中の選手の動きを切り取って頭を円、体を直線や曲線で表されています。それによりそれぞれの競技内容の連想が引き起こしやすくなっています。この例のように認識しやすいデザインやマークの作成が事柄をより簡単に理解できる点において非常に重要になってきます。そこでパレイドリア現象と同等の誤認をする機械学習モデルを作成することによりデザインやアートの新たなアイデアの提供ができるインターフェースの開発への貢献ができるのではないかと考えました。
研究内容
パレイドリア現象としてよく思い知ったパターンが引き出される元の画像を用いて機械学習モデルを作成します。その後そのモデルにパレイドリア現象を引き起こす画像とパターン元の実際に存在する物体を区別できているかを検証します。そして画像を区別した際の正答率、人間が錯覚を引き起こすのと同様に機械が誤認するためにはどの程度の画像の学習量が必要になるのかを調査しました。
研究方法
「Microsoft Lobe」を利用し機械学習モデルを作成しました。機械学習の手法は教師あり学習で行なっており、学習用画像データにそれぞれラベルを入力して学習させます。犬、猫、兎の3種類の動物を検証の対象とし、それぞれの画像の枚数を10枚から10枚ずつ増やし、200枚になるまでの計60の機械学習モデルを作成しました。それらにパレイドリア現象を引き起こす画像を15枚認識させて誤認するかどうかの検証と画像を判断した時の一致率をPythonを用いて調査しました。
研究結果
基本的にはどの枚数の機械学習モデルも誤認識をするという結果になりましたが、画像がある一定の枚数になると誤認識する確率が極端に低下する結果になりました。また犬、猫、兎の結果にも認識に差が出ることが確認できました。
画像内の「〇〇1.ipg」〜「〇〇15.ipg」はそれぞれ使用したパレイドリア現象を引き起こす画像となっており、「confidence」は設定したラベルとの一致率、「predict」は認識したものが何であるかを機械が判断した内容になります。

そして上記の機械学習モデルから学習した画像データを10枚減らすことにより猫の画像データで誤認識する確率が上昇しました。

また、同じ動物のパレイドリア現象を引き起こす画像でも誤認識する確率に差があり、以下の画像が同じラベルで左の画像が誤認識する確率が高く、右の画像は誤認識する確率が低くなる傾向が見られました。


研究結果から以下の内容が確認できました。
- 一定枚数に時に誤認識する確率が低下した。
- 検証した動物間でも誤認識する確率に差が出た。
- 同じラベル内でも誤認識する画像とそうでない画像が出てきた。
考察・まとめ
本研究では学習した画像を200枚から10枚ずつ徐々に減らして各機械学習モデルを作成したため、その中に誤認識を阻害または促進する画像があったため、極端に誤認率が上下する枚数の機械学習モデルがあったのではないかと考えています。また、それと同様に動物間での特徴から誤認識を阻害または促進する画像に差があったため動物のラベル毎に結果の差が開いてしまったのではないかと考えており、学習用データを「顔だけが写っている」や「全身が見切れることなく写っている」などの条件が必要になると思いました。そして同じラベルでも誤認識する画像とそうでない画像が出てきた点については、パレイドリア現象として顔が模されたものの誤認率が高く、輪郭が模されたものは誤認率が低くなることが確認できました。パレイドリア現象を引き起こす画像毎の差を減らすためにも顔が模されたものだけや輪郭が模されたものだけの画像を使用することでより正確な結果が出るのではないかと考えています。
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